『世界の猫の民話』という本に、フランスの次のような話がありました。
昔のフランスでは、誰かが突然お金持ちになったときには、その人が黒猫を飼っていたからだといわれたそうです。
全身が真っ黒な黒猫は、大事に扱う人に富をもたらすという言い伝えがあるのです。
聖母マリアの祝日に、家の奥さんが黒猫に自分の乳をのませてやると、黒猫は背中に2つの袋をしょってどこかに旅に出るのだそうです。「長靴を履いた猫」みたいですね。
一つの袋にはお金が入っていて、もう一つはからっぽです。
ところが、猫が帰ってくるとからっぽだった方にもお金がたくさん入っているのです。
黒猫はへとへとになっているので、「よくやったね」とねぎらって、食べ物を与えて、暖炉のそばで脚や腹を温めてあげましょうとのこと。
お金持ちになる裏マニュアルみたいなお話ですね。
それにしても、黒猫はいったいどこに旅していたのでしょう?
そうそう、最後に重要な「注意書き」も記されていました。
- 9人の主人に仕えた黒猫は、9人目の魂を地獄にもっていく。
- 今仕えている主人が亡くなった場合も、魂は地獄につれていかれる。
- だから、富を手に入れた後はできるだけすみやかに黒猫を誰かにあげてしまいましょう。
- 黒猫をゆずるときに、必要ならばたっぷりのお金を添えること。
『世界の猫の民話』
本書は、先に出版された世界のお話シリーズ『世界の犬の民話』と対をなす。世界各地に伝わる猫、虎をめぐる民話の中から「猫をめぐる由来」「魔女と猫」「こわい虎と猫」「人を助ける虎と猫」「動物たちのつきあい」などをキーワードに、犬と同様、人間の最も身近な動物として、また魔的な魅力を秘めた存在として、話の主人公をつとめる猫、虎たちの話を数多く収載。また、本文の合間には、コラムを配置し、ヨーロッパ、アイヌ、韓国、日本、インド、マザーグース等、猫にまつわる珍しいエピソードを紹介。
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